「事業継続力強化計画」認定制度とは、個人事業主や中小企業が策定した防災・減災の計画を「事業継続力強化計画」として認定する制度です。認定されると、様々な支援を受けることができたり、補助金や都道府県の助成金等で優遇措置を受けることができる可能性があります。
前回のエントリー「単独で行う事業継続力強化計画って?」に引き続き、基本方針を読み解いていきましょう!

中小企業等の経営強化に関する基本方針(事業継続力強化に関する事項抜粋)
連携事業継続力強化とは…
基本方針に示された文章は非常に長いので、その一部を抜粋してみました。
単独で行う事業継続力強化の対策及び取組を基本としつつ、例えば、国内外を問わず、遠隔地に所在する同業他者との間で、自らの設備に被害が生じた場合に代替生産を行う体制を構築する等、二以上の中小企業者(連携事業継続力強化を行う大企業者がある場合は、当該大企業者を含む。以下「連携事業者」という。)が連携して事業継続力強化を行う取組も支援対象とする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
なお、連携事業継続力強化の取組は、連携事業者がそれぞれ製造する製品等の販売協力や、各者の技術を用いた新製品等の共同開発にも資することが想定される。また、連携事業者の従業員の交流によって、人材の育成や業務の効率化が図られ、その結果、連携に取り組む複数の事業者それぞれの事業発展にもつながりうる。連携事業継続力強化を行うに当たっては、平時の事業発展も念頭に置いた取組を行うことが重要である。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
また、連携事業継続力強化は、連携事業者の競争上の地位その他適正な利益の保護に相互に配慮しつつ取り組むとともに、連携事業者それぞれの経営判断に基づき、信頼関係を構築しつつ、段階的に取組を進めていくことが重要である。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
要約すると、
- 他社と連携して事業継続力強化するのもOK!
- 緊急時だけじゃなくて平時から連携して事業発展していってね!
- 他社を拘束するものではないので、会社間の信頼関係が大切だよ!
こんなところでしょうか。二社以上の共同計画も後押ししますが、計画を立てたはいいものの、事業に逆効果だと困るからよく考えて計画を立て行動しましょう、ということみたいです。
連携事業継続力強化の目標とは…
1の二に掲げる事項を踏まえ、連携事業継続力強化の目標を設定するものとする。連携事業継続力強
化については、とりわけ、連携事業者の相互発展に資する目標を定めることが求められる。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
基本的には単独の事業継続力強化計画と変わりませんが、加えて「連携事業者の相互発展に資する目標」を定める必要があります。
計画の実施期間は3年以内。
計画期間は三年以内とする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
これも単独の計画と同じ内容ですね。
連携事業継続力強化における連携の態様
連携事業継続力強化における連携として想定されてるパターンは以下の3つです。
組合等を通じた水平連携
同業種又は異業種に属する複数の中小企業者で構成される組合等が、自然災害等に備えて、自然災害等が発生した場合における相互の支援・協力に関する協定等を締結し、当該協定等に基づき、代替生産の実施、復旧等に必要な人員や設備の融通、原材料・部品の確保の協力、車両・倉庫等の相互利用、災害対応設備等の共同導入・利用等、複数の中小企業者が連携して事業継続力強化に取り組むこと。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
サプライチェーンにおける垂直連携
原材料・部品等の需給関係にある複数の親事業者や中小企業者が、自然災害等に備えて、自然災害等が発生した場合における相互の支援・協力に係る協定等を締結し、当該協定等に基づき、イの取組(組合等を通じた水平連携)に加え、親事業者を中心に、下請中小企業者の事業継続力強化に向けたセミナーの開催、被害状況の共有と迅速な復旧支援に向けた体制の構築等、複数の親事業者や中小企業者が連携して事業継続力強化に取り組むこと。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
地域における面的連携
工業団地、商店街、卸団地、地域の商工業者における親睦団体その他の地縁的な関係を有する複数の中小企業者が、自然災害等に備えて、自然災害等が発生した場合における相互の支援・協力に係る協定等を締結し、当該協定等に基づき、イの取組(組合等を通じた水平連携)に加え、地方公共団体や自治会組織等、地域の復旧活動に関わる関係機関との協力関係の構築等、地域における面的連携により、事業継続力強化に取り組むこと。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
連携事業継続力強化に資する対策及び取組
基本方針上、ここが単独計画との一番の違いかもしれません。
単独で行う事業継続力強化の対策及び取組を基本としつつ、連携事業継続力強化計画において気をつけるべきポイントについて基本方針では示されています。

イ. 自然災害等が発生した場合における対応手順の決定・共有
ロ. 自然災害等が発生した場合における人員確保に対する対策
ハ. 事業継続力強化に資する設備等の導入
ニ. 事業活動を継続するための資金の調達手段の確保
ホ. 事業活動を継続するための重要情報の保護
へ. 親事業者、政府関係金融機関その他の者による連携事業継続力強化に係る協力
ト. 連携事業継続力強化の実効性を確保するための取組
イ. 自然災害等が発生した場合における対応手順の決定・共有
単独計画と同じく自然災害が発生したときに、「まず何をすべきか」(初動対応)について決定・共有しておきましょう。基本方針には、具体例として以下の5つが挙げられています。
- 従業員やその家族の安否確認方法
- 設備等の安全な停止方法
- 施設や設備等、在庫や中間財等の被害の把握方法
- 災害対策本部の設置等社内の緊急時体制の構築方法
- 下請や地方公共団体、商工団体等の関係機関への被害状況の共有方法
- 連携事業者が行う、自然災害等が発生した場合における情報の共有方法や対外的窓口の一元化方法
- 連携した初動対応を発動するための基準の策定
ロ. 自然災害等が発生した場合における人員確保に対する対策
自然災害が発生すると、事業主や従業員が被災するのはもちろん、従業員の家族や、自宅、公共インフラ等に被害が生じ、いつも通りに人員体制を確保することが難しくなります。そのため、単独計画と同じように連携計画でも、自然災害が発生した場合の人員体制確保について、整備方法をあらかじめ決めておく必要があります。
基本方針に示されている具体例は、以下の5つです。
- 自然災害等が発生した場合における安全を確保した上で行う従業員の参集体制
- 勤務ルールの整備
- 一人の従業員が複数の業務に対応することを可能とする従業員教育の実施
- 従業員の業務内容・作業手順等のマニュアル化
- 他者との連携による非常時の従業員の相互応援態勢の構築
- 連携事業者が行う人員派遣の在り方を決定しておく
- 復旧に必要となる連携事業者それぞれの人員体制を共有する
ハ. 事業継続力強化に資する設備等の導入
中小企業者単体では導入が難しい事業継続力強化に資する設備等を共同で導入、使用することを検討することが求められています。災害に備えた設備導入はもちろん大事なのですが、無尽蔵に資源があるわけではないので、適切かつ効果的な設備投資の内容及び規模を検討することが大切です。
。基本方針に示されている具体例は以下のとおりです。
- 停電に備えた自家発電設備の導入
- 水害被害に備えた止水板や排水ポンプの導入
- 配電盤等の重要設備の高所設置
- 地震に備えた機器の固定や精密機器への制震・免震装置の導入
- 重要施設の耐震化
- 津波に備えた高台移転
- 停電に備えた自家発電設備等、自然災害等が発生した場合において連携事業者が共同で使用できる設備等の設置
- 当該設備等の共同使用ルールの策定
ニ. 事業活動を継続するための資金の調達手段の確保
自然災害が発生すると、収入(売上)が減少したり無くなったりする一方、従業員への給与や設備リース料などの固定費は継続して発生するため、資金繰りが極めて大切になってきます。資金繰り対策=リスクファイナンス対策について、事前の検討が必要です。
- 適切な自己資金の確保
- 融資枠の手配や自然災害等の発生後に活用できる融資制度の確認
- 損害保険や火災共済への加入
- 損害保険契約の締結状況等、連携事業者が事業活動を継続するための資金の調達手段の確保状況の相互確認
- 組合等を通じた水平連携において、複数の組合員企業が組合を通じて保険に加入し、保険加入手続を効率化
損害保険や火災共済については、水害に対応しているか、施設や設備への補償があるか、その水準は十分なものか等、検討しましょう。休業損失保険や地震保険の必要性についても同様に検討が必要です。
ホ. 事業活動を継続するための重要情報の保護
自然災害にともなって、財務資料や設計図等の情報資源が紛失・消失する可能性があります。対策として、
- 当該情報の電子化・バックアップや紙書類のコピーの作成等の重要情報の複製化
- 浸水被害が想定されない高所における保存等の対策の実施
- クラウドサーバーを活用した電子情報の保管
- 重要情報のバックアップ状況等、連携事業者が事業活動を継続するための重要情報の保護状況の相互確認
- 製品の設計データや生産ノウハウを相互に共有することにより代替生産を行える体制の整備
が基本方針に提示されています。
へ. 親事業者、政府関係金融機関その他の者による連携事業継続力強化に係る協力
多くの中小企業者にとって、様々な経営課題があるなかで、「事業継続力強化」に取り組む優先順位は決して高いものとはいえません。資本規模も限られるなかで、すべてのリスクに対して備えることは難しく、限界があると考えられます。そのため、当事者(中小企業者)の関係団体による支援・働きかけが必要と考えられます。
加えて連携の計画では以下について例示されています。
- 中小企業団体中央会、商工会、商工会議所又は独立行政法人中小企業基盤整備機構による連携事業継続力強化の取組を組成するためのあっせん・情報交換の場の設定
- 親事業者がサプライチェーン全体の事業継続力を強化するために行う複数の下請中小企業者を対象とした一括支援
- 地方公共団体が行う地域における面的連携の仲介や環境整備
ト. 連携事業継続力強化の実効性を確保するための取組
せっかく計画を策定しても、その計画がいざという時に機能しなければ意味がありません。計画が機能するように行うべき取組として、以下が列挙されています。
- 自然災害等の発生時を視野に入れた平時の推進体制の整備
- 従業員向けの定期的な訓練及び教育の実施
- 自らの経営環境の変化に応じた計画の見直し
- 連携事業者による定期的な情報交換
- 全ての連携事業者が参加する平時からの推進体制の整備や訓練の共同実施
- 地方公共団体やインフラ事業者との定期的な情報交換
事業継続力強化の促進に当たって配慮すべき事項
計画進捗状況についての調査
国は、事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画の進捗状況を調査するものとする。また、中小企業者に対して、事業者自らが、事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画の進捗状況を定期的に点検することを推奨し、事業者が行った自己評価の実施状況も調査するものとする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
国は、計画の進捗状況をちゃんと把握し、中小企業者自らも自らの計画をチェックし、そのチェック状況も国は調査する、ということになっています。
外部専門家や第三者認証制度等の活用
国は、事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画の認定、計画の進捗状況の調査、指導・助言等を行うに当たっては、本方針に加え、「事業継続力強化計画作成指針」及び「中小企業BCP策定運用指針」又は「事業継続ガイドライン」を活用するとともに、必要に応じて外部の専門家の知見を活用するものとする。特に、事業継続に積極的に取り組む事業者等を認証する制度である国土強靱化貢献団体認証制度、事業継続マネジメントシステムの国際規格であるISO22301その他の事業継続力強化に資する第三者認証制度との連携を図るものとする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
事業継続力強化及び連携事業継続力強化の普及
国は、独立行政法人中小企業基盤整備機構、地方公共団体を始めとする中小企業者を取り巻く関係者等、幅広い主体と連携し、事業継続力強化及び連携事業継続力強化の普及拡大に努めるものとする。成功事例の蓄積・紹介は、中小企業者に対して、事業継続力強化及び連携事業継続力強化の重要性を周知し、取組を促す効果が大きいことを踏まえ、それらの効果的な広報を展開するものとする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
申請手続の簡素化
国は、申請手続の負担を軽減するため、電子申請システムの開発及び利用促進に努める。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
関係法令の遵守
国は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法等、関係法令と整合的な事業継続力強化及び連携事業継続力強化の取組を促進するものとする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針
自然災害に起因しないリスクに対する事業継続力強化
国は、中小企業者の事業継続力強化に向けた取組の促進に当たっては、サイバー攻撃等、自然災害に起因しないリスクを踏まえた事業継続力強化の必要性についても、引き続き検討するものとする。特に、情報セキュリティ対策については、独立行政法人情報処理推進機構が実施する「SECURITYACTION」等の活用を含めて検討するものとする。
中小企業等の経営強化に関する基本方針

