東京都内に工場を新たに設置する場合や施設等を変更する場合には、知事の認可を受けなければなりません。(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例第81条第1項)
工事着工の60日前までに認可申請書の提出が必要であるのに加え、環境関連法規等、複数の要件の確認が必要となりますので、設備等の計画が概ね決定した段階で余裕をもって申請を行う必要があります。
工場設置認可を必要とする「工場」とは
まず、都の環境確保条例を確認しましょう。第二条に、「工場」という用語について定義されています。
(定義)
第二条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
七 工場 別表第一に掲げる工場をいう。
別表第一では、認可申請が必要な工場について、3つの類型に分けて記載されています。
別表第一 工場(第二条関係)
(令二条例三九・一部改正)
一 定格出力の合計が二・二キロワット以上の原動機を使用する物品の製造、加工又は作業を常時行う工場(レディミクストコンクリートの製造については、同一の工場において一年以上行うものに限る。)
二 定格出力の合計が〇・七五キロワット以上二・二キロワット未満の原動機を使用する物品の製造、加工又は作業で次に掲げるものを常時行う工場
(一) 裁縫、織物、編物、ねん糸、糸巻、組ひも、電線被覆又は製袋
(二) 印刷又は製本
(三) 印刷用平版の研磨又は活字の鋳造
(四) 金属の打抜き、型絞り又は切断(機械鋸を使用するものを除く。)
(五) 金属やすり、針、釘、鋲又は鋼球の製造
(六) ねん線若しくは金網の製造又は直線機を使用する金属線の加工
(七) 金属箔又は金属粉の製造
(八) つき機、がら機、粉砕機又は糖衣機を使用する物品の製造又は加工
(九) 木材、石材若しくは合成樹脂の引割り又は木材のかんな削り若しくは細断
(十) 動物質骨材(貝がらを含む。)、木材(コルクを含む。)又は合成樹脂(エボナイト及びセルロイドを含む。)の研磨
(十一) ガラスの研磨又は砂吹き
(十二) レディミクストコンクリートその他のセメント製品の製造(レディミクストコンクリートの製造については、同一の工場において一年以上行うものに限る。)
(十三) 魚肉又は食肉練製品の製造又は加工
(十四) 液体燃料用のバーナーの容量が一時間当たり二十リットル以上又は火格子面積が〇・五平方メートル以上の炉を使用する食品の製造又は加工
三 次に掲げる物品の製造、加工又は作業を常時行う工場
(一) 金属線材(管を含む。)の引抜き
(二) 電気又はガスを用いる金属の溶接又は切断
(三) 厚さ〇・五ミリメートル以上の金属材つち打ち加工又は電動若しくは空気動工具を使用する金属の研磨、切削若しくは鋲打ち
(四) ショットブラスト又はサンドブラストによる金属の表面処理
(五) 塗料、染料又は絵具の吹付け
(六) 乾燥油又は溶剤を用いる擬革紙布、防水紙布又は絶縁紙布の製造
(七) 溶剤又はラバーセメントを用いるゴム製品の製造又は加工
(八) ドライクリーニング
(九) テレピン油又は樹脂を原料とする物品の製造
(十) 石炭、亜炭、アスファルト、木材若しくは樹脂の乾りゅう又はタールの蒸りゅう若しくは精製
(十一) たん白質の加水分解
(十二) 合成樹脂の製造若しくは加熱加工又はファクチスの製造
(十三) 石綿、岩綿、鉱さい綿、ガラス綿、石こう、うわ薬、かわら、れんが、土器類、陶磁器、人造砥石又はるつぼの製造
(十四) 電気分解又は電池の製造
(十五) 床面積の合計が五十平方メートル以上の作業場で行われるテレビジョン、電気蓄音器、警報器その他これらに類する音響機器の組立て、試験又は調整
(十六) ガス機関、石油機関その他これらに類する機関の試験又は調整
(十七) 発電の作業
(十八) 金属の溶融又は精錬(貴金属の精錬又は活字の鋳造を除く。)
(十九) 金属の鍛造、圧延又は熱処理
(二十) 溶剤を用いる塗料の加熱乾燥
(二十一) 塗料、顔料若しくは合成染料又はこれらの中間物の製造
(二十二) 印刷用インク又は絵具の製造
(二十三) アスファルト、コールタール、木タール、石油蒸りゅう産物又はその残りかすを原材料とする物品の製造
(二十四) 電気用カーボンの製造
(二十五) 墨、懐炉灰又はれん炭の製造
(二十六) 動物質臓器又は排せつ物を原料とする物品の製造
(二十七) 油脂の採取若しくは加工又は石けんの製造
(二十八) 肥料の製造
(二十九) ガラスの製造又は腐しょく若しくは加熱加工
(三十) ほうろう鉄器又はほうろう薬の製造
(三十一) セメント、生石灰、消石灰又はカーバイトの製造
(三十二) 硝酸塩類、過酸化カリウム又は過酸化ナトリウムの製造又は精製
(三十三) ヨウ素、いおう、塩化いおう、塩化ホスホリル、りん酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、さらし粉、次硝酸ビスマス、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩類、バリウム化合物、銅化合物、スルホンメタン、グリセリン、スルホン酸アンモニウム、酢酸、安息香酸又はタンニン酸の製造又は精製
(三十四) 有機薬品の合成
(三十五) 火床面積が〇・五平方メートル以上又は焼却能力が一時間当たり五十キログラム以上の焼却炉を使用する廃棄物の焼却
(三十六) 油缶その他の空き缶の再生
(三十七) 金属の酸洗い、腐しょく、めっき又は被膜加工
(三十八) 鉛、水銀又はこれらの化合物を原料とする物品の製造
(三十九) 羽若しくは毛の洗浄、染色若しくは漂白、繊維の染色若しくは漂白又は皮革の染色
(四十) 紙又はパルプの製造
(四十一) 写真の現像
(四十二) 有害ガスを排出する物の製造又は加工
(四十三) 有害物質を排出する物の製造又は加工
上記、別表第一の類型のいずれかに該当する場合は、工場の認可申請が必要です。
工場認可申請のスケジュール(東京都の場合)
お客様のニーズを把握し、工場予定地の現地確認を行います。申請の概要や必要な手続きについて説明します。
関係する行政機関と事前相談を行い、申請に必要な要件や手続きの詳細を確認します。
申請に必要な書類をお客様に案内し、工場予定地の詳細な調査を行います。
お客様から提供された情報と現地調査結果をもとに、申請書類を作成します。
作成した申請書類を行政機関に提出し、正式に工場認可の申請を行います。(施行規則第30条)
60日間の実施制限があるため、着工日の60日前までに提出する必要があります。申請後に行政機関による現地確認が行われることがあります。
申請が認可されると、工場認可書が交付されます。(施行規則第31条第1項)
認可を受けた後、お客様は工場の建設を開始します。井戸の設置がある場合は、設置前に立会確認が必要です。
工場が完成したら、完成届を提出します。(条例第84条第1項、施行規則第34条)
行政機関による完成検査(現地確認)が行われます。(条例第84条第2項)
完成届が認定されると、認定書が交付されます。(条例第84条第2項、施行規則第35条第2項)
認可を受けた者は、認可工場であることが分かるように、表示板を掲示する必要があります。(条例第85条、施行規則第36条第1項)
全ての手続きが完了し、お客様は正式に工場の稼働を開始できます。(条例第84条第3項)
工場の認可申請以外にも、環境関連法規の遵守が必要です
条例に基づく工場の認可申請以外にも、環境関連法規の遵守が必要となります。下記の法律により、申請や届出が必要となる可能性がありますので、お気軽にご相談ください。
環境関連法規(一部)
- 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法)
- 大気汚染防止法
- 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)
- 水質汚濁防止法
- 下水道法
- 浄化槽法
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)
- 瀬戸内海環境保全特別措置法
- 湖沼水質保全特別措置法
- 土壌汚染対策法
- 騒音規制法
- 振動規制法
- 工業用水法
- 建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)
- 悪臭防止法
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
- 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)
- ダイオキシン類対策特別措置法
- ポリ塩化ビフェニエル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB廃棄物処理特別措置法)
- 毒物及び劇物取締法(毒劇法)
- 消防法
- 水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)
- 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)
- 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)
- 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
- 建築工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
- 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)
- 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)
- 工場立地法
- エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)
- 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)
- フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
- 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)
- 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)
- 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例/東京都)
報酬料金について
分類 | 報酬額 |
---|---|
東京都の環境確保条例に基づく工場設置認可 | 275,000円 ~(工場の広さ等で変わります) |
東京都の環境確保条例に基づく指定作業場の届出 | 220,000円 ~(作業畳の広さ等で変わります) |
その他の変更手続 | 33,000円 ~ |
・環境確保条例以外の法律上の手続きが必要な場合は、別途料金が発生します。
・初回の無料相談は現地へ出張いたします。(交通費をいただきます)
弊所の対応地域について
東京都内の対応地域
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エコアクション21の認証・登録支援を行います
当事務所では、環境マネジメントシステムであるエコアクション21の認証・登録支援を行っております。(代表の遠藤は、エコアクション21の審査員補です)
