各市役所・町役場では、ご遺族の方が届け出をしなければならない市役所関係の手続きと、市役所以外での一般的な手続き内容をまとめた「おくやみガイドブック」を配布しています。大変便利なものですのて、ご遺族の方は窓口 or インターネットにて、ご一読されることをおすすめします。
お悔やみガイドブックや手続きについては、各市町村のHPに掲載されています。詳細につきましては、各市町村窓口にお尋ねください。
「相続手続き」はどうしたらいいの?
さて、大変便利な「おくやみガイドブック」ですが、実は相続手続きについては詳しく載っていません。多少記載がある場合でも、1~2ページ程の簡単な記載に留まります。
相続手続きと言っても、様々な手続きがあります。(下記は一例です)
- 相続人の確定・戸籍謄本等の取得
- 遺言書の有無の確認
- (自筆証書遺言があれば、家庭裁判所での検認手続き)
- 相続財産の調査
- 相続放棄、限定承認、単純承認の選択
- 被相続人の所得税の申告・納付(準確定申告)
- 遺産分割協議(遺言書が無い場合)
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の相続登記
- 預貯金や各種権利関係の解約・名義変更等
- 相続税の申告・納付
市町村で出来る手続きが完了した後も、どのように相続手続きしたらいいかわからず、日数だけが過ぎて焦りを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか? そこで、良き相談相手となるのが、相続を専門にしている各専門家です。
専門家に依頼すると自分でやるのに比べて多少費用はかかりますが、専門家のサポートを受けることで大幅な負担軽減、迅速な相続手続きを期待することができます。
相続にはいろんな専門家が…。誰に相談するのがベター?
相続手続きについては、いろんな肩書を持った専門家がいます。それぞれの専門家がどのような手続きに強いのか、確認していきましょう。
銀行・信用金庫の相談窓口
銀行や証券会社、信託銀行などの金融機関では、「相続手続きの相談窓口」を開設していることがほとんどです。金融機関の方々ですので、正確なアドバイスを期待できますし、適切な専門家を紹介してもらうことができます。金融機関なので、信頼性が高いのも大きな魅力です。
金融機関に依頼するデメリットとしては、多額の費用がかかることです。相場よりも費用は割高になりがちです。
相続士・相続診断士・相続アドバイザー
相続○○、と名前のつく資格を保有し、アドバイスしてくれる専門家がいます。こうした方々は、「相続全般の知識を保有し、相続のやり方について詳しい」ことが多いです。
あくまで民間資格ですので、国家資格を保有していないことから、アドバイスはできても手続きの代行・代理をすることが法律上認められていません。他の専門家を紹介する等がメインとなりますので、相続手続きを依頼するメリットは大きくないと言えるでしょう。
弁護士に相談するのはどういう時?
弁護士は、基本的にどのような手続きも行うことができます。
もっとも、弁護士にのみ出来ることとして、「相続人同士の紛争解決や、調停・裁判での代理を行える」ことが大きなポイントです。行政書士・司法書士・税理士は、遺産分割協議で相続人同士が揉めて合意に至らない場合、誰かの代理人として交渉ことができません。
トラブルになりそうな場合や、調停や裁判になりそうな場合は、最初から弁護士にお願いするのも一つの方法です。
ただし、弁護士費用は他士業と比較すると総じて高価です。行政書士と比較すると、数倍の費用がかかる可能性があります。揉めそうになく、遺産分割協議でお互い話し合える関係であれば、行政書士・司法書士・税理士を選択肢に入れて検討されても良いかと思います。
税理士に相談するのはどういう時?
税理士は、税の専門家です。
法律によって、税理士以外の人が、税務相談に乗ることは税理士法違反となりますので、行政書士や司法書士は相続税の相談に乗ることは出来ません。
相続手続きを行う際、被相続人の所得税申告(準確定申告)を行う必要がある場合と、相続税の申告を行う必要がある場合は、税理士に依頼するのがベターです。
司法書士に相談するのはどういう時?
司法書士は登記の専門家です。
不動産の相続が発生する場合には、司法書士が大きな力になります。また、相続放棄を行う際は裁判所での手続きが必要ですが、司法書士はそのサポートが可能です。
行政書士に相談するのはどういう時?
行政書士は権利義務に関する書類作成の専門家です。
相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成までを依頼することができますが、相続登記の手続きや、相続税の申告については行政書士が行うことはできません。
他士業と連携している事務所が多い
弁護士以外の国家資格者については、それぞれ出来る業務と出来ない業務があることをご理解いただけたと思います。
実際には、士業同士、知り合いがたくさん居ますので、登記は信頼できる司法書士を、相続税は信頼できる税理士を紹介することのできる事務所が多いと思います。