お亡くなりになった方(被相続人)の遺産を相続するにあたり、まずは、「相続する対象となる財産」がどれだけあるかを調べる必要があります。銀行にある預貯金や、土地、建物などの資産価値(評価額)を調べ、財産を一覧としてまとめてから、相続人同士で遺産分割協議を行い、誰が何を相続するのかを決めていきます。
銀行や信託、証券で残高証明書を取得する手続きや必要書類について、ひとつずつご説明します。
残高証明書の取得手続きとは
残高証明書は、口座のある金融機関に直接行くか、郵送で書類を送って手続きを行います。同じ金融機関であれば、口座を作った支店でなくても手続きができますし、複数支店がる場合でも、一回の手続きですべての残高が取得できます。
例えばA支店とB支店に口座があったり、定期預金と普通預金があったり、預金口座だけでなく信託がある場合も、ほとんどの場合、1度の手続きで残高証明書の取得が可能です。
誰が取得できるの?
残高証明書の取得が可能なのは、相続人や遺言執行者です。相続人が複数いる場合でも、1人(単独)で請求することができます。
委任状があれば、相続人以外の代理人でも残高証明書の請求が可能ですが、金融機関によっては代理人になれる人を制限している場合もありますので注意してください。行政書士や弁護士といった士業が代理人になる場合が多いです。
請求に必要となる書類は?
・被相続人の法定相続人であることが確認できる戸籍謄本 または除籍謄本
たとえば相続人のご主人が逝去された場合、戸籍謄本に相続人の戸籍、亡くなったご主人の除籍が記載され、2人の関係性が分かりますので、ご逝去者の戸籍謄本があれば大丈夫です。
・請求者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
・請求者の実印と印鑑証明書
また、請求者本人ではなく代理人が請求する場合は、
・委任状
・代理人の実印と印鑑証明書
が必要となります。
戸籍謄本や除籍謄本の代わりに、法務局で発行する「法定相続情報一覧図の写し」を使って手続きをすることも可能です。
請求の仕方と、受取り方
残高証明書の発行請求は、金融機関の窓口で行う場合と、郵送にて行う場合があります。お住まいの近くに支店がある場合は、郵送よりも支店で手続きしたほうがメリットが大きいです。
支店の窓口対応の場合、書類に不備があった場合はその場で不備を指摘してくれるため、翌日に再度訪問するなど、柔軟に対応できます。また、残高証明書もその日に発行してもらえる場合もあります。
郵送対応の場合、先方の金融機関に到着するまでに2〜3日、返送までに1〜2周間かかることが多く、書類不備があった場合はさらに長引きます。近場であれば金融機関に出向いて手続きすることをオススメします。
残高証明書の取得 注意点は?
亡くなった日の残高を記載してもらう
相続する財産の評価は、被相続人がお亡くなりになった日を基準にして行います。
被相続人の銀行口座が停止される前に保険金が振り込まれたり、親族が預貯金を引き出している場合もあります。その場合、現時点の口座入金額と、被相続人の財産(評価額)は同一にはなりません。あくまで、お亡くなりになった日に預金されていたお金が相続対象となりますので、間違えないように気をつけましょう。
定期預金の場合は経過利息計算書も必要
定期預金の場合、預け入れした日から相続発生日までの利息が発生しており、その利息も相続の対象となります。定期預金の残高証明を発行してもらうときは、「経過利息計算書」も併せて発行してもらうようにしましょう。
残高証明は行政書士に依頼するのもオススメ。
銀行の残高証明を含む財産調査を、見落としなく洗い出すのはとても大変な作業です。
普段のお仕事や家事で多忙な時間の合間を縫って、お役所や銀行などをめぐって資料を収集するだけでもヘトヘトに。遺産分割協議を行うためとはいえ、一人でこの作業を完結するのは多大な労力が発生します。
さて、財産調査や遺産分割協議を含む手続を専門にしているのが行政書士です。財産調査に必要な戸籍謄本、名寄帳といった書類を取得するところから業務を委託していただけます。時間の節約にもなりますし、精神的なご負担も軽減することができます。東京や埼玉、山梨にお住まいの方は是非ご用命くださいませ。